もしかして利回りが高いと言うだけで良い物件と思っていませんか?利回りとは、不動産投資における物件選びの指標であり、もちろん高い方が良いのですが実は利回りには落とし穴があるのです。
しっかりと「利回り」について理解していないと投資対象として不適切な物件を購入してしまう可能性もあります。
不動産投資を成功させる為に今回、利回りの平均や相場。落とし穴について解説していきます。
そもそも利回りとは?利回りの基礎知識
表面利回りと実質利回り
不動産投資における利回りとは、物件への投資額に対する1年間の家賃収入の割合のことを指します。一般的な金融商品における利回りは、投資金額に対する利子を含めた年間収益の割合を意味します。同じように捉えられるようにもみえますが、不動産投資における「利回り」には2つの意味があり、ここを理解していないと落とし穴にハマってしまう可能性があります。
・表面利回り(想定利回り)
・実質利回り
の2つがあります。解説すると…
表面利回り
「表面利回り」とは、管理費や税金などの経費を考慮せずに計算した利回りです。
広告などに掲載されている利回りはこの「表面利回り」で、購入後の実際の利回りは、この表面利回りを必ず下回ります。
例:中古区分マンション 物件価格:1000万、月額賃料:5万円
60万円(5万円×12ヶ月)÷1000万×100=6%
ちなみに、物件が空室の場合、相場家賃から想定した想定家賃収入をもとに算出したものを「想定利回り」といいます。
実質利回り
「実質利回り」とは、税金、管理費、修繕積立金、リフォーム費用など要は不動産投資にかかる経費を含めて計算した利回りを「実質利回り」といいます。
例:中古区分マンション 物件価格:1000万円、月額賃料:5万円、諸経費:12万円
(48万円(5万円×12ヶ月)−12万円)÷1000万円×100=4.8%
表面利回りで計算したときよりも、実質利回りで計算したときの方が利回りが低くなりました。表面利回りを鵜呑みにしてしまうと後々、
「実は儲からなかった物件」と言うことに気付き、投資失敗になってしまいます。
そのため、物件購入時は、実質利回りをシミュレーションしてみてから購入した方がいいでしょう。
実質利回りを計算する際に役立つ!年間の支出一覧表
不動産投資は物件価格以外に様々な費用がかかります。一覧にしましたのでざっくりみていきましょう。
不動産を買うとこんなにも諸経費がかかるんです。
※ほとんどの項目は決められた金額を支払うしかないのに対し、下2つの「火災保険・地震保険」「修繕費・リフォーム代」は自分でコントロール可能でして、保険の補償内容を下げ保険料を安くしたり、「修繕費・リフォーム代」に関してはDIYをして費用を抑えたりするなどでき、この2項目を低く抑えられると実質利回りも高くすることができます。
「修繕費・リフォーム代」以外の諸経費は大体、物件価格の10%かかると思ってください。
高利回りでも注意すべき点
不動産広告の全部が表面利回りで書いてることはわかった。色々計算して実質利回りが出たけどそれでも高利回りだ!!けどこれって買い物件なの?
ちょっと待ってください。利回りが高くても購入しない方がよい物件がありますので注意してください。
1、借地権物件
2、旧耐震基準で建てられた物件
3、管理状態の劣悪な物件
4、管理費・修繕積立金が高すぎる物件
5、立地が悪い地方物件、駅から遠い物件
6、出口(売却)がイメージできない物件
もし検討中の物件がこの6つのうちのどれかに当てはまっていたら少し難易度が高い物件だと思ってください。順番に解説していきます。
1、売却時に一苦労!借地権物件
借地権物件とは、土地は地主の物。建物は自分の物。簡単にいうと土地を借りて建物を建てるもしくは買うということです。借地権物件は土地は借りている事になりますので、毎月土地代がかかります。また、土地賃貸借土地賃貸借契約更新時に更新料がかかります。
さらに、借地権物件は売却が一苦労です。まず売却時には地主から譲渡承諾を得る必要があり、名義変更料(譲渡承諾料)がかかります。そして借地権物件は融資がつかないので、購入者は自己資金で購入する必要があります。すると自己資金だけで購入できるくらいの売却価格にまで物件価格を下げなければ購入者が見つからない場合があります。
ですが、借地権物件はデメリットばかりでもなく有利な点も2つあるります。
1つ目は、所有物件と比べると割安で購入できる。上記の理由で割安での販売をせざるおえないので「できるだけ割安な物件が欲しい」という方にはメリットがあるのではないのでしょうか。
また物件価格が抑えられることによって利回りが上がるという点もメリットとなるでしょう。
そして2つ目は、固定資産税・不動産取得税が抑えられるという点です。土地の所有権はあくまで地主にあり、オーナーはただ賃貸しているだけなので、土地の固定資産税を支払う必要がありません。
特に好立地の築古物件の場合には、本来の固定資産税のほとんどが土地分であるというケースもあり、本来払わなければならない固定資産税の多くの部分を節約できるというメリットになります。
2、融資を利用しにくい!旧耐震基準で建てられた物件
1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認に置いて適用された基準を「旧耐震基準」といい、その翌日以降に適用されている基準を「新耐震基準」といいます。
旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないような構造基準に対し、新耐震基準は震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準での建築確認になります。
要は、旧耐震基準で建てられた建物は耐震性・耐久性に不安があり、また築古ということもあり資産価値が下がっているということから融資が付きにくく、融資が付いたとしてもかなり金利が高くなる為、購入者層が狭まります。
ですが、旧耐震基準であるかと言って全ての物件が資産価値が低いとも言えず、例えば、オーナーや管理会社が優秀で定期的にメンテナンス、修繕をしっかり行っている物件は状態も良くとても綺麗な物件で高い資産価値を誇っていたりします。
その他に、耐震補強工事を行っており新耐震基準と同等の耐震性能を保持しているなど、旧耐震基準の物件全てが資産価値が低いとも言いきれない為、しっかりとした確認が必要です。
3、コストと労力を要する!管理状態の劣悪な物件
例え計算上、高利回りな物件でも見るからに古い物件は注意が必要です。入居者目線で見てもあまりに古いと入居を敬遠されてしまいますし、築年数が経っていても管理状態が良い物件なら綺麗に保たれているはずです。
ひとたび空室が出たら、大規模なリフォームをしないと入居が決まらなかったり、本来あるはずの修繕積立金が管理がずさんの理由からなかったりと、物件購入後とても手間がかかることになります。
一度現物を見にいき、管理状態の確認などは必ず行いましょう。
4、管理費・修繕積立金が高すぎる物件
意外に見落としがちなのが「管理費・修繕積立金」です。管理費・修繕積立金が高すぎる物件は、そのぶん売買価格を下げて、高利回りに見せていることがあります。
管理費・修繕積立金の適正価格は全体の総戸数や広さで判断し、例えば、総戸数20戸・18㎡で管理費と修繕積立金の合計は高くても15000円ぐらいです。
逆に、あまりにも修繕積立金が少ない物件も気をつけてください。10年〜20年に1度は行われるべき大規模修繕工事が実施できないや、購入時は低かった積立金が数年後値上げされるなどのリスクが潜んでいます。
5、立地が悪い地方物件、駅から遠い物件
地方の立地が悪い物件は物件価格が低くなる為、必然的に利回りが高くなります。ですが、いくら高利回り計算でも入居者が居なければ収入はゼロです。
本当にその物件立地は賃貸需要があるのか確認が必要です。簡単な確認方法があり、それは物件近辺にアパートなどがあるかを見ることです。その際、空室がないかなど確認すれば賃貸需要を調べることができます。
6、出口(売却)がイメージできない物件
出口がイメージできない物件は、その利回りに関係なく、検討から外した方が無難です。例え計算上高利回りでも入居者が居なく収益を生まない不動産は、税金がかかるだけの負債です。
その際、土地の利用価値が見出せれば収益を生む資産となりますし、「再建築不可」で新たに物件を建てれないとなると、売却もできなく負債を持ち続ければいけなくなります。
利回りの目安と相場
最後に、利回りの相場を見ていきましょう。都心と地方だともちろん利回りは変わってきますし、立地条件や物件スペック等にも大きく変わりますので参考程度で考えてください。
・都心部区分マンションの平均利回り
・都心部ワンルームマンションの平均利回り
・都心部木造一棟物件の平均利回り
・東京以外のワンルーム・ファミリー向け(50〜80㎡)の利回り
「※参照元:日本不動産研究所第42回不動産投資家調査(2020年4月現在)」
まとめ
今回は不動産投資における利回りについて解説してきました。利回りが高いからと言って良い物件とは限らず、利回りはあくまでも目安にすぎません。現時点では利回りが高い物件でも、空室や家賃下落が発生すれば一転、利回りは低下してしまいます。
少しでもリスクを回避するために、賃貸需要の高いエリアを選んだり、空室リスクの低い物件や家賃が下がる可能性が低いエリアへの投資などを購入時、検討しましょう。
「利回りが高い、即買い!」と飛びつくのは、不動産投資ビギナーのやってしまいがちな行動であるため、注意してください。