空室がなかなか埋まらない・・・・。
そんな悩みを持った大家さんも多いはず!そこで今回、入居者層を広げるべく
「生活保護受給者」
を入居させるとどうなるのか解説していきます。
目次
生活保護者ってどんな人?
生活保護を受ける方とはどういった方なのでしょうか。
貯金や土地(持ち家)や車などの資産を持っていない。
②働くことができない人
病気やケガなど、何かしらの理由があって働けない人。
③他に利用できる公的制度がない
求職者支援などの公的な制度を受けることができる場合は、先にその制度を受けることが前提。
④親族からの支援が受けられない
親などの親族に資産があって援助が可能だと判断されると受給できない。
上記、4つの条件を全て満たしたうえで本人の収入と、厚生労働省が定める最低生活費を比べ、収入が最低生活費を下回っていた場合に限り生活保護を受けることができるようです。
また、厚生労働省の調査によると、平成30年10月末の時点で生活保護受給者は209万人おり、日本人口の約50人に1人は生活保護を受給していることになります。
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生活保護者を入居させるメリット・デメリット
人口減少がこれから進んでいく日本において、生活保護受給者が209万人もいる数字は、賃貸経営をする上で無視できない数字ではないのでしょうか。
ですが、生活保護受給者を入居拒否される大家さんも多いのは実情です。それはなぜなのか、メリット・デメリットを見ていきましょう。
生活保護者を入居させるメリット
1、家賃滞納リスクが低い
生活保護者は収入がない方がほとんどです。ですが生活保護者には生活を営むうえでさまざまな扶助が国から保証されているのです。その中に
「住宅扶助」
があり市区町村などで定められた範囲内で支給されます。
ところが、生活保護者の中には、住宅扶助金を別の目的で使用してしまう人がいます。このような事態を防ぐために自治体から直接、オーナーや管理会社に家賃を入金してもらうことができます。(家賃扶助代理納付)
手続きをしなければなりませんが、家賃扶助代理納付を利用すれば家賃滞納を防ぐことができますし、自治体側も別目的で使われないためにと了承してくれることが多いようです。
2、長期入居が見込める
生活保護者は一度入居すると、長期入居される方が多いようです。それは、別物件を見つけるのが大変だからです。下記でも詳しく説明していますが、色々な事情から一度住んだら長期入居になります。
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生活保護者を入居させるデメリット
1、家賃下落の可能性
家賃扶助には上限額があり、自身の物件がその上限額より高い家賃設定なら、家賃を下げることになります。その事情を他の入居者が知れば、家賃減額の交渉に応じなければなりません。
2、扶助金の上限額が下がる可能性
以前に「貧困ビジネス」が流行ったのを覚えていますか。悪徳業者が生活保護者を狭い1Rに何人も入居させ、扶助金の上限額で自治体に家賃を請求するというもので、その対策として扶助金の見直し・引き下げが行われました。
今後も支給額の見直しがある可能性は十分にあります。そのため、自身の物件が生活保護者ばかりだと、扶助金の見直しがされた場合、家賃収入の減少に繋がってしまいます。
3、近隣住民とのトラブル
生活保護者の場合、一日中部屋にいることが多いため、近隣住民とのトラブルの確率が高くなります。
中でも、薬物依存者や精神障害を持つ生活保護者を受け入れると大変で、部屋内で奇声を発したり物音をたてる、最悪の場合、部屋内で事故になってしまう可能性もありますので管理には十分な注意が必要になってきます。
住宅扶助制度
生活保護者のメリット・デメリットはわかっていただけたと思いますが、オーナーの皆さんの関心はどれぐらいの家賃を見込めるのかだと思います。これは各自治体で上限額が異なりますので自身の物件の管轄を調べる必要があります。
今回、都市部を中心に調べましたので参考にしてみてください。地方は以下の金額より1、2割程度低くなります。
【東京都23区】
一人世帯・・・40900円〜53700円
二人世帯・・・49000円〜64000円
三人世帯・・・53200円〜69800円
【大阪市】
一人世帯・・・40000円
二人世帯・・・48000円
三人世帯・・・52000円
【福岡】
一人世帯・・・36000円
二人世帯・・・43000円
三人世帯・・・47000円
生活保護者は賃貸物件を探すのが難しい現実
生活保護者を入居させるメリットのところで「長期入居になる」とお伝えしましたが、なぜなのか。その理由として「賃貸物件を探すのが難しい」からです。
住宅扶助があり家賃の保証があるのになぜなのでしょうか。
1、不動産仲介会社が取り扱わない
実は、生活保護者が不動産会社へ問合せをした際、門前払いされることが多いのが実情です。その理由として生活保護受給者の斡旋は時間がかかるためなのです。
どういうことかというと、生活保護受給者は賃貸契約を結ぶ際、各自治体の生活保護窓口へ相談をするという流れがあるため、契約が1ヶ月以上かかるということがあったりします。
不動産会社も忙しいため、時間がかかるお客さんは敬遠してしまうということです。
2、家主から懸念される
自分の大事な物件で事故があったらとても困ります。そういった不安感や家賃の回収がしっかり出来るのかという点から懸念されている家主も多いようです。
3、保証人がつけられない
世帯年収があったらそもそも生活保護を受けることができません。生活保護を受ける方は身寄りがない方なども多いため、保証人になってくれる方がそもそもいないということがあり、入居審査に通らないのです。
まとめ
生活保護受給者を懸念される大家さんは現在も多くいますが、中には生活保護者を積極的に入居させる大家さんもいます。現在、「住宅セーフティーネット制度」の制度予定もあり、政府、家主、不動産会社ともに住宅確保困難者に貸していこうという意識も高まっています。
日本に209万人もいる規模なので、空室対策として入居者層を広げる考えを持ってみてはいかがでしょうか。