賃貸経営をしていて起こる、リスクの1つとして「家賃滞納問題」があります。不動産会社に入居者管理を委託されていない場合は、オーナーである自ら対応する必要があります。
ですが、日本の法律上「入居者を保護する」法律になっている為、家賃滞納の対処を間違えると、逆にオーナー側に損害賠償請求などが起こってしまいますので適切な対応が必要です。
万が一「家賃滞納」が起こった場合の適切な対応方法、家賃滞納されないための対策、督促時の注意点などを解説しましたので見ていきましょう。
目次
家賃滞納が起こった場合の流れ
家賃の入金日より1日でも遅れたらそれは滞納になってしまいます。
ですが、家賃滞納が発生したら、すぐに法的手段をとるわけではありません。
冒頭でも述べたように日本の法律は「入居者保護」が優先ですのでしっかりとした手順を踏む必要があります。
最終的には法的手段を取ることになるのですが、それまでに
「家賃を支払うように、何度も督促した」
という事実を証明することが重要です。
家賃滞納発生〜2週間以内
期日を過ぎても家賃の振り込みが確認されなかった場合、まずはすぐに家賃滞納者(借主)に家賃が未払いであることを確認し、督促しましょう。
その際、電話・口頭・手紙、どの手段でも構いません。何よりも迅速に伝えることが重要です。
借主が家賃を支払うつもりがない、また支払えない状況だった場合、連帯保証人がいる場合は、連帯保証人に連絡をする方法が有効です。
連帯保証人は契約者と同じ債務を負うため、支払いの義務があります。
家賃滞納に関する通知を出してから2週間を過ぎても反応がないようでしたら、督促状を送る準備をしましょう。
滞納から2週間以降
家賃滞納から2週間経過した場合、内容証明郵便で督促状を送り、家賃の支払い請求をします。
内容証明郵便で送る理由は、法的手続きを行う際に
「借主に対して、滞納分の家賃の支払いをきちんと請求していた」
という証拠を残すためです。
督促状に記載すべき内容・項目
②借主(契約者)名
③貸主(オーナー)の情報(住所・氏名・電話番号など)
④物件情報(物件名・住所・部屋番号など)
⑤未入金の通知および支払いへの督促文面
⑥支払期限
⑦振込先
⑧請求額
⑨支払われなかった場合の対応
⑥支払期限
家賃督促状の発送から1週間程度を設定します。支払いが難しい場合は、相談の連絡を促す文面があれば、支払う意思を確認できます。
⑦振込先
「振込先がわからなかったから支払いできなかった」と言われないために記載しましょう。通常の振込先と同じ場合でも、念を押す意味で振込先を記載しておくことで、早期の振込が期待できます。
⑧請求額
請求額は「家賃滞納月数」「滞納金額」に加え、場合により「遅延損害金」を合計した総額を提示します。
滞納者が事実確認できるよう、内訳も記載しましょう。
⑨支払われなかった場合の対応
滞納初期〜1ヶ月の督促状では「遅延損害金発生・法的措置の示唆」について記載します。
督促状テンプレート
滞納から3ヶ月以降
滞納から3ヶ月が経ち、内容証明郵便を送った後も借主が支払いに応じなかった場合は、催告書によって賃貸借契約の解除通知を出しましょう。
催告書には「滞納した家賃の最終支払いの期限と、実行しない場合は賃貸借契約を解除すること」を記載して、内容証明郵便で借主に送付しましょう。
ここまで来てしまったら、法的手段の前段階です。
民法上では、貸主が契約解除を一方的に行うことができない、貸主と借主との関係が破綻していなければ法的措置をとることができないとなっています。
・家賃を2ヶ月以上滞納している
・催促しても支払いに応じない
など常習性・悪質性が高いと判断されれば契約解除できるようになります。
ここまで滞納をする借主は悪質性が高く、すんなり退去に応じる可能性は低いため、法的措置として「明け渡し請求訴訟」に進むケースが多いです。
【法的手段】明け渡し請求訴訟
契約解除の期日を過ぎても支払いの様子が見られない場合は、法的手段を取ることになります。
法的措置対象者への手続きとなるため、不動産トラブルに強い弁護士に相談することをオススメします。
弁護士費用が必要になってしまいますが、できるだけ借主を退去させ、次の入居者を探すことを考えると、マイナスではありません。
弁護士に頼むことで、回収や退去がスムーズに進みます。
【法的手段】強制執行
裁判で勝訴判決を得た後、強制執行の申し立てを行います。
①強制執行に必要なものを揃える
②強制執行の申立てをする
③断行(強制執行)
ほとんどの場合、残置物が残っており、契約時や督促状を送った際に「動産(残置物)の所有権の放棄・動産を貸主が自由に処分できる」書面を交わしておくことを強くオススメします。
これをしておかないと残された動産は勝手に処分できなく保管料を取られることになり更に費用がかさみます。
督促時の注意点
上記で滞納された場合の対応を見てきました。督促をする際に注意することかいくつかあります。これらを守らないと最悪、自身が法律違反を犯してしまうということになってしまいます。
電話・訪問による督促
家賃滞納が発生〜2週間以内では電話や口頭、手紙での督促をします。その際法律で禁止されいる事項がありますので注意してください。
家賃支払い督促
家賃滞納をされた際、早く回収しようとオーナー自ら動くこともあるかと思います。ですが現在、法律では家賃の取り立てに対して厳しい規制がかけられていますので注意が必要です。
その他禁止されている行為
滞納分の家賃を早く回収したいところではありますが、借主も私生活を守る権利があり下記の注意事項を守らないと法律に触れる可能性があり、部屋の明け渡し裁判となった際に不利となったり、罪に問われる可能性もあるため、絶対に行わないようにしましょう。
家賃滞納されないためにできること
入居者募集の際に、内覧に来てくださった方が家賃を滞納するかどうかなんてわからないと思います。
万が一、家賃滞納をされた際でもリスクを減らすことはできます。
②連帯保証人をつける
この2点どちらかを契約必須条件にしておけばリスクヘッジにつながります。
①の家賃保証会社はブラックリストを持っていますので過去に滞納履歴などをしている方なら審査に通りませんのでその時点で入居を断ればトラブルになることにもなりません。
②連帯保証人は相手の身元をしっかり確認しなければなりません。電話がちゃんと通じるか本当に実在する人物なのか。
どちらにしても入居審査をしっかりしないと後々トラブルになりますのでシビアになる必要があります。
まとめ
賃貸経営で家賃滞納トラブルは、オーナーにとって死活問題です。ましてや融資を組んで行っている方などは特にです。
しかし、家賃滞納をされたからといって過度な督促をすると返って自分の首を締めることになるので注意をしてください。
万が一の備として、これまで紹介した内容を参考にトラブルを事前に防ぎながら、安定した不動産投資、賃貸経営を行ってください。